弁護士に聞こう! 【共有者が所在不明の不動産の買受2】

(質問)
A、B、Cの3人が共有する都内の土地と建物は、空き家で荒れ放題ですが、場所は悪くないので、弊社は是非とも買い受けたいと思います。A氏とB氏は売却を望んでいますが、C氏は数年前から所在不明で一切連絡がとれないとのことです。A氏もB氏もC氏の共有持分を買い取る余裕はなく、C氏の共有持分を含めてその不動産全体を売却希望です。

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弁護士に聞こう!【賃料保証会社により未払賃料の支払いがなされた場合、賃貸人は賃料不払で契約解除できますか。】

(​質問)
 弊社は、テナントA社のために、賃料保証会社と保証契約を締結しており、A社の賃料不払いが既に4か月続く中、その都度賃料保証会社から不払い分の支払いを受けています。しかし、最早A社は信頼できないので、契約を解除したいと思います。賃料保証会社からの支払いにより賃料は全て回収できている現状で、契約解除は可能でしょうか。

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等価交換のメリット・デメリット

皆様こんにちは。住宅・不動産・土地活用・不動産投資のコンサルをおこなっていますコミュニケーションバンクの山本です。
毎月、アズ企画設計様の交流会に参加させていただいていますので、不動産事業者の皆様にはお会いしたことがあるかもしれません。

今回のテーマは「等価交換のメリット・デメリット」です。
一都三県にアパート・マンションや駐車場・遊休地を所有していらっしゃる地主の皆様へのご提案です。普段から賃貸経営・資産活用・節税・相続対策等に複合的に取り組んでいて、勝ち残るために、空室対策・大規模修繕・建替え・新築等についてとてもよく勉強していらっしゃると思います。

今日のテーマの等価交換についても聞いたことがある方が多いと思いますので、
復習の意味でご覧ください。等価交換とは、単なる「俗称」で、実態は、〝買換え〞または、〝相互売買〞のことです。
土地所有者が土地の所有権(の一部)をディベロッパーに譲渡して、その分だけ建物の所有権を得る仕組み。土地と建築の費用を「等価」にして交換することを指します。
等価交換をしたい地権者は、下記のような人です。
•土地を手放したくない→土地に愛着がある
•借入はしたくない→建替えを検討したが、多額の借入はしたくない
•相続をしやすくしたい→土地のまま相続させると子ども達が大変
•安定収入を得たい→有効活用して賃料収入を得たい

皆様如何でしょうか?当てはまる方は、とても多いと思います。
まずは、地権者のお気持ちが大切です。
次に土地の要件が等価交換に適しているかについての、土地の大きさ・用途地域・市場等の様々な調査が必要です。
次に記載してあります「地権者にとってのメリット・デメリット」と「他の取引方式との比較」の確認をお願いします。
等価交換に興味がある方は、アズ企画設計さんを通じて山本まで是非お問い合わせください。専門の会社と連携して質問にお応えし、現場調査・市場調査をします。

「特別受益」と「寄与分」

今回は令和5年4月から既に施行された民法改正から、「特別受益と寄与分を主張できる期間の制限」について解説します。
例えば親から生前に不動産購入のための多額の資金援助を受けていた長男と、何も貰っていない次男が、相続開始時の親の財産だけで2分の1ずつの遺産分割を行うと、当然不公平が生まれます。
このように故人からの生前贈与や遺贈、死因贈与により、一部の相続人だけが受け取った利益を「特別受益」といいます。
「特別受益」を相続財産に加算してから遺産分割を行うことで、遺産をより公平に分けることができます。
逆に、親の療養介護を献身的に続けていた長女と、何も貢献をしていなかった長男が、同様に2分の1ずつの遺産分割を行うと、これも当然不公平が生まれます。
故人の療養介護を献身的に続けた、又は故人のために資金援助をしたなどで、
故人の財産の維持又は増加に特別の貢献をした相続人は、相続財産に「寄与分」として財産を加算することができます。
民法は「特別受益」や「寄与分」という考え方を用いることで、遺産分割の際の当事者の不公平感を是正して、より実質的な公平を図ろうとしているということができます。

しかし、令和5年4月に施行された民法改正により、「特別受益」や「寄与分」を相続人が主張できる期間は相続開始時から10年と限定されることになりました(民法第904条の3)。
10年経過前に家庭裁判所に遺産分割の請求をした時や、相続人全員の同意がある時等の例外を除き、相続開始時から10年を経過すると他の相続人に「特別受益」があったことや、自分に「寄与分」があったことを主張することはできなくなります。
遺産分割は相続人全員の同意が得られないとそのまま放置されがちで、長期間に及ぶことが珍しくありません。10年、20年と長引くと、例えば特別受益や寄与分の証拠は散逸し、関係する相続人がさらに亡くなって相続人の人数も増え、遺産の管理がさらに複雑になる等々の問題が発生します。
相続開始から長期間経過しているのに相続登記がされていない不動産や相続手続が完了していない預貯金等には、このような背景がある場合が珍しくありません。
遺産分割の早期解決を促して遺産分割の長期化を防ぐことや、すでに長期化してしまった遺産分割を解決に向けて円滑に進めることが民法改正の目的です。
遺産分割は先延ばしすることなく、なるべく早く進めなければなりません。
お亡くなりになった家族の相続手続が長期間解決できていない当事者の方は、専門家へのご相談をお勧めします。

知っておきたい!税務の知識相続税申告の必要性について

相続税申告の必要性について相続税には基礎控除があるため、全ての方に相続税がかかるわけではありません。
相続税計算上の財産評価額と、通常の取引価格に差が生じる財産もあるため、相続税計算上どのように評価されるのかを把握しておきましょう。
また、各種特例の適用要件を理解しておくことも重要です。

相続税の基礎控除相続税には、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除が設けられています。

(例)相続人が2人であれば、3,000万円+600万円×2人=4,200万円相続人が5人であれば、3,000万円+600万円×5人=6,000万円亡くなられた方の財産の合計がこの基礎控除以下であれば相続税はかかりませんし、相続税の申告の必要もありません。相続税の財産評価相続税は、亡くなられた方の、亡くなられた時点の財産の合計額を基に課税されます。不動産や株式など、少し計算が難しい財産もありますので、下記でご紹介します。

1.土地不動産は一物四価などと呼ばれる財産です(実勢価格、公示価格、相続税評価額、固定資産税評価額がそれぞれ異なる。)が、相続税で使用する土地の評価は、「相続税路線価」を基に評価した価額です。
路線価方式は、各道路に値段が付けられていて、その道路の価格を基に隣接する土地の評価を計算する方法です。国税庁のHPなどで「路線価図」を調べることができますが、路線価図を見ると、道路に「300C」などと数字と記号が付されています。この300、というのは「300千円」=「30万円」、という意味で、m²当たりの単価を示しています。
そのため、この道路に接している100m²の土地がある場合、30万円×100m²=3,000万円の評価額、ということになります。
(※「300C」の「C」は借地権割合を示していますが、本稿では詳細な説明は割愛させていただきます。)
なお、同じ100m²の土地でも、10m×10mの綺麗な正方形と、4m×25mの長細い土地では使い勝手が大きく異なります。
また、歪んだ形や、三角形の土地などであればより利用効率は悪くなります。
実際に評価をする際には、図面を基に、土地が道路に接している間口の距離や、奥行の距離、土地の地形などを考慮して各種補正を入れた上で評価を行います。

2.建物建物は、固定資産税と同額で評価をします。
毎年市役所等から送られて来る固定資産税の課税明細書に記載されている評価額が、相続税評価、ということになります。
(課税明細書には、「課税標準額」や「固定資産税額」も記載されていますが、「価格(評価額)」を使用しますのでご注意ください。)

3.上場株式については、ご相続発生時点の株価を基に計算します。
この際に、ご相続発生日の終値、その月の平均額、前月の平均額、前々月の平均額、の4つの中で一番低いものを使用して良いこととされています。
(例)〇〇商事の株式の株価(9/10に相続開始)
9/10の価格:320円
9月の平均:315円
8月の平均:330円
7月の平均:310円
∴310円で評価

4.非上場株式ご自身で会社を経営されているような場合には、その会社の株式も財産に含まれます。非上場会社の株式は、上場株式のような取引相場がないため、会社の決算書等を基に株価を個別に算定する必要があります。
評価方法は「類似業種比準価額方式」(自社と同業種の上場会社の株価と比較して自社の株価を算定する方法)と、「純資産価額方式」(会社の所有する資産から負債を差し引いた純資産を基に算定する方法)を組み合わせて行います。評価の方法は複雑ですが、単純に言うと、利益が出ている会社は株価が高いですし、価値の高い財産(含み益のある土地など)を所有している会社、業歴が長く過去の利益の蓄積が多い会社などは株価が高くなります。

相続税の特例
1.小規模宅地の特例お亡くなりになった方のご自宅の敷地を、同居していた親族が相続した場合など、一定の要件を満たすと、その敷地の評価が最大80%減になるという特例です。
1億円の評価額の土地→この特例の適用により2,000万円の評価になる注意点としては、この特例は相続税の申告をしないと適用ができないため、特例を適用すると財産評価額が基礎控除額以下となり税金がかからない、という場合にも申告はする必要があります。
2.配偶者の税額軽減配偶者は、法定相続分相当額または1億6,000万円までは相続しても税金がかからない特例があります。
そのため、配偶者が全て相続すると相続税はゼロ、というケースもありますが、この特例も、適用するためには申告が必要となりますので注意が必要です。
まとめ相続税の節税がしたい、と相談に来られた方で、よくよく話を聞くとわずかな相続税しか発生しなかったり、逆にうちはそんなに財産がないから、という方の相続税の試算をしてみたら多額の納税額が算定された、ということは良くあります。
相続税の申告は不要だ、と思い込んでいて、実は申告が必要だった場合には、税務署からの指摘を受け、追加で加算税や延滞税なども課税されてしまう可能性があります。
万が一の際にどれだけ相続税がかかるか把握していない場合には、一度専門の税理士に相談してみることをお勧めいたします。