所有不動産を調べる方法

日頃から相続についてよくご相談をいただきますが、そもそも亡くなった方が「どこにいくつ不動産を持っているのかが分からない」というお話になることがあります。遺言書や遺産分割協議書の不動産の記載に漏れがあることや相続税の申告が終わった後に不動産に漏れがあったことが何年も経った後に発覚することもあります。今回は、個人の所有不動産を調べる方法について解説します。

まず、お手元にある又は故人が持っていた権利証や登記識別情報、登記簿謄本等の資料を全て確認します。不動産をお持ちの方は、売買や相続などで物件を取得した際に権利証や登記識別情報、取得当時の登記簿謄本(登記事項証明書)等を一度は手にしていることがほとんどです。ご自宅や銀行の貸金庫等、心当たりの場所をまずは可能な限り探してみることをお勧めします。勿論見つからない可能性や、紛失してしまっている可能性もあります。

次に、「課税明細書」を確認する方法があります。毎年5月から6月頃に都税事務所や市町村役場から送付される固定資産税の納税通知書には課税明細書が同封されています。これを確認すると固定資産税が課税された不動産を特定することができます。ただし、道路など固定資産税が課税されない不動産や他の共有者と共有している不動産など、所有していても課税明細書に記載がない不動産があるケースは珍しくありません。相続手続等から不動産の一部が漏れてしまうケースの多くがこの「課税明細書」のみしか確認をしなかったケースです。くれぐれもこの方法だけに頼らないようにすべきでしょう。

もう一つ、都税事務所や市町村役場で「名寄帳」を確認する方法があります。名寄帳とは、各市区町村が地域内の不動産所有者を管理している名簿です。これを確認すると、個人が同一市区町村内に所有している不動産が全て明らかになります。固定資産税が課税されない不動産を所有しているケースや多くの不動産を所有しているケースなどで非常に有用です。ただし、明らかになるのは「その市区町村内」の不動産のみであるため、別の市区町村内に不動産を所有している場合はそちらで別途名寄帳を取得する必要があります。名寄帳の取得方法は各市区町村等のHPなどをご確認ください。

個人が不動産を所有している場合に全てを把握、確認するのは簡単ではありません。遺言書や遺産分割協議書を作成する際に不安があれば、必ず事前に司法書士に相談することをお勧めします。

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