【豪州不動産事情】12. ゴルフ場に住んでみる?

「マンション」という言葉を聞くと集合住宅を思い浮かべる方が多い事でしょう。でも英語で「マンション」は「立派な一軒家(=豪邸)」なんです。それでは集合住宅を英語で何て言うかというと「アパートメント」とか「ユニット」、高層住宅なら「ハイライズ」という言葉をよく聞きます。今までこのコーナーでは海を見下ろせるハイライズのコンドミニアムをご紹介してきましたが、今回はゴルフ場の敷地内に建てられているユニークな家をご紹介しましょう。

ゴールドコーストの中心地はサーファーズ パラダイスですが、別名「ゴルファーズ パラダイス」とも呼ばれる程、ゴルフ場が多くあります。車で20分も走れば、10か所も数えられます。レイクランズはジャック ニクラウスの設計、サンクチュアリコ―ヴ・パインズはアーノルド パーマー、グレイズはグレッグ ノーマン、パームメドウズはグラハム マーシュ、といった具合に有名ゴルファーが設計したトーナメント級のコースが幾つも揃っています。カートに乗って18ホールでだいたい1万円、9ホールだと半額です。

日本のように「午前ハーフ、ランチを挟んで、午後ハーフ」という一日仕事ではありません。18ホールを休まずに回っちゃいます。それでは途中でお昼になったらランチをどうするかというと、コースによってはカートに乗ったスタッフがサンドイッチとドリンクを売り歩いているので、モグモグしながらプレイ。それもまた楽しいもので。観光客ならカートでスイスイ、現地の人は手引きカートでのんびり。私の知人は例えば平日の朝6時から9ホールだけプレイして、それからスーツに着替えてオフィスに出勤します。ゴルフ場が町に近いので気軽に楽しめる環境です。また生真面目な日本人と違って、スコアを付けないプレーヤーも多いようです。「ゴルフの本質は楽しいもの、スコアを気にすると楽しくなくなる」と割り切っているのでしょうね。一人で回っているプレイヤーも結構いるので、すぐ後ろに速そうな人の姿が見えたらどんどんパスさせちゃいます。

ゴルフ場のクラブハウスの存在も日本とは少し違います。地元の人達が気軽に集える施設です。ゴルフをしなくてもランチやディナーを楽しみに行ったり、地元ロータリークラブの例会が行われていたり、結婚式が開かれたり。それぞれのゴルフ場の公式サイトでクラブハウスの様子が紹介されていますので覗いてみてはいかがでしょう。

とにかくゴルフ場には緑も鳥も多く、広々して気分がいいものです。そんな良い環境にあるゴルフ場ですから、放っておく手はありません。ゴールドコーストではコースに沿ってズラリと家が並んでいます。そう、すぐ庭先がゴルフ場なのです。

全てが別荘という訳ではなく、普通に住んで生活している人が結構多いようです。毎日町へ仕事に通う人もいますし、のんびりとリタイヤ生活を楽しんでいる人も。日本で仕事を持っている友人もゴルフコース沿いのアパートメントを一つ買って定期的に訪れ、滞在中はゴルフ三昧。この環境を求めて彼の友達も日本からよく遊びに来るそうです。これもまた海とは違ったゴールドコーストの魅力と言えるでしょう。

羨ましい事に、車庫の中には何とプライベートの電動カートがスタンバイ。家でキャディバッグを積んだままコースへ運転して行き、そのままプレイして帰って来ます。ここではゴルフが生活の一部なんです。

こういう住宅地にはゲートがあり、パスワードを押すか、門番にどの家へ行くかを伝えないとゲートが開きません。住む環境が良いだけでなく、安全な住宅地とも言えます。そして住人にはクラブハウスを利用する権利が与えられ、手頃な金額で食事を楽しめたり近隣の住民達と酒を交わしながらコミュニケーションを楽しむ事も出来ます。

最後に、オーストラリアのゴルフ場には野生のカンガルーがいるって噂、聞いた事あるでしょう。本当かって?  ・・・本当です。パームメドウズやロイヤルパインズなどのように湿地を埋め立てて造ったコースにはいませんが、元々森があったところに造ったコースではカンガルーがフェアウエイに我が物顔で寝そべったりしています。さあ今日から練習に励んで、ミスショット連発でカンガルー達に笑われないようにしましょう。


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