残された負動産が社会のインフラ整備の一助に

加藤オーナー(仮名)の挑戦

加藤オーナー(練馬区)は、山梨県に江戸時代から続く第19代目の当主です。

祖父の代から、東京に進出。父親の財産を相続したのは、今から14年前のことでした。いざ、ふたを開けてみると、更地のままになった宅地や荒れ地、父の別荘、空き家のままになった都内の区分マンションなど利益を生まない負の財産ばかり。別荘や区分の修繕積立金など、総額年間200万円の固定資産税がかかることがわかりました。

「固定資産税、修繕積立金などを支払うとなると年間200万円を納めなくてはいけない。毎年、この費用が掛かるとすると、いったいどうすればいいのだろうか…」(加藤オーナー)。

山梨県内にある公道の道路付けの良い場所や駐車場などは残し、処分ができるものについては売却をして、金策に走りました。

80台止められるという触れ込みの駐車場も、相続時は3台しか契約がなく、ほぼ土地を持て余している状態でした。相続後すぐに、こぞってハウスメーカーがアパート建設の営業に来たそうです。「アパートを建てると、今の固定資産税が格段に安くなります。節税効果がありますよ!」。税金の支払いで頭を悩ませている状況で『節税』という営業担当者の甘言には、何度も心が揺らいだそうです。

「地主が動かなければ、町は寂れてしまう。地主である以上、地元のインフラ整備に寄与することが重要だ。俯瞰した目で、施設として何がこの土地に適しているだろうか」。加藤オーナーは、駐車場の一角にテナントを建設することを決意。テナント入居を希望する企業数社と面談し、コンビニエンスストアを建設することにしました。

コンビニエンスストアと薬局を誘致することができた

その結果、単身者やファミリー向け賃貸住宅が建ち並ぶ中で、新たな社会的基盤を担うものを建てたことで、地域に貢献することができたそうです。

「物件を建てれば20~30年賃貸経営することになります。焦らずに検討する必要があると思い、1~2年かけ熟考することで、有益な土地活用をすることができました」(同)

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