「地面師」って何?不動産取引でとても大切な「本人確認」

大手の不動産業者があっけなく騙されてしまった「地面師による不動産売買詐欺事件」は、犯人グループの一部が逮捕されたことで一気に世間の注目を浴びました。

普段あまり聞き慣れないこの「地面師」という言葉ですが、「売主になりすまし、売買における必要書類を偽造してニセ取引を行い、買主から売買代金を騙し取る」犯人やそのグループのことをいいます。

今回は誰もが知る有名業者が被害者だったためマスコミにも大きく取り挙げられましたが、実際には一般個人が狙われるケースも後を絶ちません。そのような事態を招かないためにも、取引する際はしっかりとした専門家を間に通し、慎重な方法で人の確認や権利の確認を行うことが大切です。

初めて不動産を購入する人は「諸費用が思ったより高いので、仲介業者に頼まずコストカットしたい」と考えることもあるようです。しかし、専門家は取引中、取引後にトラブルのないようさまざまな判断や処理をしており、それらを省くことには大きなリスクが伴います。

不動産仲介業者は、売却される物件について、「瑕疵(キズ、欠陥)がないか?」「土地の面積は登記簿と一致しているか?」などをチェックする他、事務的な手続きもサポートし、事前に決めた決済当日にスムーズにお金のやりとりができるよう準備をしています。

また、司法書士は登記簿に基づいて「売主の住所や氏名は現在と一致しているか?」「抹消すべき抵当権や差し押さえなどはないか?」といった点を見ながら必要な登記内容を判断し、売買代金が決済された当日付で買主に完全な所有権を取得させるための手続きを行います。

そして仲介業者、司法書士ともに行う非常に大切な業務に「運転免許証等による本人確認」があります。過去に地面師による被害を免れた例では、司法書士が売主と雑談をする中で「免許証の写真と本人は一致するが、本物の売主であればこの発言は怪しい」という、経験を通じた本能的な勘が働いて取引を中止させたものもあります。

経験のない一般の人が不動産取引の欠陥を見抜くのは至難の業ですから、やはりコストはかかっても専門家の手に委ねて、最後まで安心できる取引にしたいものです。

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