建物の寿命はこまめなメンテナンスで、劣化を緩やかにすることは可能
今回は、インスペクションの検査項目の中で、特に注意が必要な部位を解説していきたいと思います。
外壁… 目視によって毀損箇所をチェック
建物の中でも風雨にさらされやすいため、不具合の起こりやすい箇所の代表格といえます。実務では、目視によって毀損箇所をチェックします。ひび割れなどの症状があると、雨水の内部への侵入が考えられるため、構造材の腐食や、カビの発生といった、建物にとっては致命的なダメージを与える可能性も出てくるので、非常に注意が必要な箇所といえます。
屋根… 高所を目視調査
外壁と同様、風雨にさらされるため、防水層含めて劣化しやすい箇所となります。また、高所であるため、目視調査が困難なケースもあります。こちらも、外壁同様、雨漏りの症状があれば構造材に大きなダメージを与える可能性が考えられるため、要注意です。
基礎… 0.5㎜以上の亀裂や深さ
20㎜以上の欠損、コンクリートの著しい劣化などを調べます。実務では「クラックスケール」という測定定規をあてて亀裂の幅を測定します。この幅が0.5㎜以上の場合は、そこから雨水が浸入してコンクリート及び配筋等の構造に影響を及ぼすことが考えられます。特に注意したい箇所は、換気口周りです。換気口周りの強度は落ちるため、亀裂が入る可能性が高いです。また、暗く湿度の高い箇所では、シロアリの通り道である蟻道があるケースがあります。この場合、シロアリ被害の疑いが懸念されます。
室内(床・柱)… 床や柱の傾斜を確認
水平器等の専門器具を使って計測し、1,000分の6(1mで6㎜)以上の傾斜がある場合は、「著しい傾斜」と判断されます。床の傾斜は、基礎の不同沈下や床仕上げのゆがみといった可能性が考えられ、構造に問題があるケースが想定されます。
給排水・換気… 吐水と目視による配管調査
蛇口から赤水が出ている場合は、配管内が錆びている可能性があります。また、水の勢いが弱い場合なども配管内の錆が原因と考えられます。点検口からの目視が困難な場合は、全ての水栓を締めた上で、水道メーターが動いているようであれば、何らかの形で漏水している可能性があります。
換気ダクトについては、脱落の有無を目視で確認します。キチンと外部に排気が出来ているかによって、小屋裏などのカビや腐食の原因になる可能性があるためです。
まとめ
以上のように、既存住宅では様々な劣化が生じていることが多く、状況によっては修復不可能な場合も出てきます。それらの状況を防ぐためにも、以上のような注意点を意識し、こまめにメンテナンス・点検し、不具合のある箇所はその都度修繕していくことで、建物の質を維持することは可能です。
今後はインスペクションを活用した良質な中古住宅の流通促進が期待されているため、継続して物件価値を下げない対策が必要とされています。
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