読者の皆様、こんにちは。今回は、「不動産の売却という争族対策の検討」について考えてみたいと思います。
普段、私は、相続対策として現金を不動産に組み替えることで評価を圧縮して収益をあげることをお勧めしています。皆様ご存知のとおり、収益物件の購入や、アパートやマンションを建てることが、節税や相続対策になります。しかし、今回はあえて売却の検討をお勧めしたいと思います(売らなくてはならないという意味ではありません)。
両親が亡くなり弟との2人姉弟のAさんは「親が残したセカンドハウスが、屋根が落ちるほど老朽化して処分に困っている」と途方に暮れて相談会にいらっしゃいました。売却しようにも弟が持ち分を主張して手続きが進まないとのことです。セカンドハウスを引き継ぎ住む予定だった弟が、経済的に困窮してリフォーム等ができないまま放置していることが、もめている原因の一つにある様子でした。
母親が建てた4階建てマンションを所有するBさんは、公認会計士のご主人と相談して売却を決断されました。3人のお子様が賃貸経営に興味をもっていないということと、将来相続争いをする要素を遺したくないというお考えです。満室でしたので、収益や節税のことだけ考えれば所有していたほうが得だったかもしれませんが、税金のプロのご主人も売却に賛成されました。私の方で売却のお手伝いをしましたところ、ご希望の値段で売ることができとても喜んでいただくことができました(購入したい人はたくさんいらっしゃいますが、融資がつくお客様を探すのに少し時間はかかりました)。都内の商店街にあるマンションでしたので、1階の店舗に飲食店がはいり、2~4階がワンルーム賃貸でした。コロナ禍で飲食店の撤退が相次いでいますので、そういった意味でも売却は正解でした。
親から相続したマンションオーナーのCさんは、近隣のアパートに空室が目立ち始めています。ご自分のマンションは満室ですが、物件周辺の市場が賃貸経営に厳しい環境に変化しつつあることをご心配されています。子供に譲る頃に空室が増えた負の遺産〝負動産”になる前に、売却を決断されました。
皆様が現在所有している自宅・アパート・マンション・遊休地等をどのように子供に譲るか考えましょう。遺言やエンディングノートを書くことで具体的に検討するきっかけになるかもしれません。実家についてどうするか等、親の所有する不動産(自宅・アパート・遊休地等)をどのように分けるのか親子で話し合うことがとても大切です。購入や土地活用だけでは無く、売却も視野に入れて考えましょう。