さて、問題です。「ゴールドコーストのコンドミニアム1501号室、さあこの部屋は何階にあるでしょうか?」
「当然、15階でしょ!」と答えたくなりますが、正解は16階!なぜなら現地の建物の1階は「グランドフロア」と呼ばれ、2階が「1階」で3階が「2階」と呼ばれているから。つまり階数の数え方が1階ずつ日本とずれているんです。数学的に考えると日本で言われている1階は本来なら0階でなければならず、1フロア上がって初めて1階と呼ばれるオージー流は理に適っているのかも・・・これ以上考えると、夜も眠れなくなりそうですので終わりにしましょう。
ここで良い知らせを一つ。2032年のオリンピック開催地に豪州第3の都市ブリスベンが決定したようです。私は2000年にシドニー五輪の男子サッカー決勝と最終日の閉会式を見に行き、その感動は今でも鮮烈に蘇ってきます。余談ですが閉会式の夜は町中すごい人出で酔っ払い達がゾンビの集団みたいにたむろしていて、道路という道路が信じられない程のゴミだらけ。まるで映画『ニューヨーク1997』で町全体が刑務所になった無法地帯のマンハッタンみたいでしたが、シドニーが誇る清掃部隊が朝4時から一斉に出動して朝7時にはすっかり綺麗な町に戻っていたのを驚きと共に目撃しました。とにかくブリスベンとゴールドコーストとは車でも電車でも1時間の近い距離。競技によってはゴールドコーストやサンシャインコーストと分散開催とも言われていますので、スポーツ大好きな国民性と相まって地域全体が盛り上がるに違いありません。今から楽しみにしています。
さて今日の本題。これまでオーストラリアの不動産に投資してきたのですが、実は成功ばかりではありません。「ああ、失敗したぁぁぁ!」と頭を抱えた事もあります。今日はそんな例を一つ・・・。
あれは20世紀の終わり頃、私もまだ人生の全てに於いて経験不足で不動産を見る目も、女性を見る目もゼロに等しかった頃。働いて節約して運用資金が貯まってきたので次の投資物件をゴールドコースト地域内で探していました。そんな時、現地の仲介業者から紹介されたのが、中心地から少し離れた静かな街のオンザビーチで着工したばかりの新築ユニット。もし1階(現地で言うグランドフロア)の部屋を買えば、窓ガラスを開けて庭に出るとそこはもう砂浜!という希少物件(さすがに敷地を囲うフェンスはありますが)。おまけに建物の一部にレストランが入居する事になっていて滞在するゲストにとっても魅力的な筈。当時は今のように分譲価格が高額でなく、予算内。
「これはいい!」と思って、海に面した1階の1部屋を購入する事にしました。「庭のデッキチェアに寝転びながら、初日の出を見たい!」と妄想が膨らみます。竣工を首を長くして待っていたある日、図面の一部が変更になったとの知らせが。当初は建物の裏に設置する筈だった共用バーベキューグリルが海側に移動してきて、私が買おうとしている部屋のすぐ横に変わっているではありませんか。仲介業者に文句を言ったところ「工事の途中でプールやバーベキューグリルの位置が変わるなんて、オーストラリアではよくある事ですよ」と平然。何しろ日本でも豪州でも、バーベキューと言えば大人数で長時間ワイワイというのは共通(と当時信じていた)。自分がのんびり過ごしているお気に入りの部屋のすぐ前で、鉄板ジュージュー煙モクモクはやめて欲しいと強く感じました(当時は)。
今思えば別に朝から晩までそのグリルが使われている訳ではないし、その施設に泊まっているカップルか、せいぜい家族連れが少人数で楽しむ程度なので深く考えなければ良かったのです。しかし当時はそれが許せませんでした。神様って本当にイタズラ好き。そのタイミングで悪魔のささやき、他の仲介業者から「いい物件がありますよ、うっしっし(with笑顔)」と。そこは日本人スタッフも勤務している大規模リゾートの中の1室で、しかも購入してから満2年間は分譲価格の7.5%利回り保証という条件付き・・・人はこれを「気の迷い」と呼びます。
私は希少価値と将来性のあるお買い得の砂浜の部屋を捨てて、たった2年間の家賃保証という目先の利益に目が眩んで大規模リゾートの中の1室に乗り換えてしまったのです。これぞ一生の不覚!
あれから20数年が経ち、オンザビーチの不動産価格は上昇を続けています。そしてきっと泊まり客も多くて高い稼働率を続けている事でしょう。一度逃したチャンスは豪州の不動産では取り返せません。なぜなら海外居住者は中古物件を買えないからです。
一方、私が1室を買った大規模リゾートは規模が大き過ぎて稼働率が低く、おまけに管理会社が途中で投げ出してしまって2年くらい宿泊客が入らず無収入の時期がありました。今は新しい経営者が施設運営を再開して少しずつ収入が入ってきましたが、税金や修繕費など維持費がかかるので投資としては完全な失敗。ただ広いプールやワラビーが出没する森の中のスポーツ施設などがあってリゾート施設としては魅力的ですので、家族で楽しむ別荘と割り切ってまだ持っています(という負け惜しみ 涙)。
最後に、これは未練たらしい人間の本性でしょうか。もし私があのオンザビーチの部屋を買っていたら・・・? 「別れを告げたあの女(ひと)が、この頃すごく気になるの」って演歌の世界かよ(一人突っ込み)。そこでトリップアドバイザーという旅行者向け情報サイトで調べてみました。建ってから年月が経つのでボロくなっていて半端なベテラン管理人の愛想も悪くて悪評プンプン・・・を期待していたのですが、実際には宿泊客からの投稿でも評価が高く、「町で一番 評判のいいオススメの宿」と書かれていました(苦笑)
ああ、これも人生。恋人選びと物件選びは、どちらも冷静な判断でお願いします。