不動産に関わる事業承継(M&A)の成功事例

2020年4月15日にM&Aや事業承継のノウハウを持つジャパンM&Aソリューション株式会社と業務提携を行い、不動産業界の事業承継支援に積極的に取り組んでいます。今回は成功事例を交えて、不動産に関わる事業承継を対談形式で語っていただきました。
※対談は十分な新型コロナウイルス感染対策を行い実施しました。


ジャパンM&Aソリューション株式会社 代表取締役 三橋 透
大学を卒業し三和銀行(現三菱UFJ銀行)に入行。銀行を退職し、フィンテックグローバル株式会社に入社。取締役としてM&A・投資を推進。中小企業の案件を中心に多くのM&A案件を成約。中小企業のM&Aを専門に行うフィンテックM&Aソリューション株式会社を2018年3月に設立。2019年11月にジャパンM&Aソリューション株式会社設立。新しい日本のM&Aマーケットを構築することに全力を注いでいる。


株式会社アズ企画設計 経営戦略本部長 遠藤良明
新卒で損害保険会社に入社し、ベンチャーキャピタル(国内外のベンチャー企業への投資)業務等に従事。その後、政府系投資会社にて、新規事業開発や事業承継・相続、M&A、株式公開等のコンサルティングに従事。関与先で株式公開を果たした企業は多数に上り、アズ企画設計もその1社。2020年2月にアズ企画設計に入社し、新設された経営戦略部でM&A・事業承継等を担当。



始めに、貴社の特徴などのご紹介をお願いします。

当社は中小企業向けに事業承継などの経営課題を解決するためのM&Aを行う会社です。当社のスタンスは「相談されたら断らない」ということです。
M&A仲介会社の多くは、最低手数料が高く、小さい会社の相談は受けないところが多い。手数料も1件当たり2,000万円以上の案件しか受けませんというのが一般的なマーケット状況と言われています。日本企業のほとんどが普通の中小企業なのですが、その中小企業はM&Aや事業承継のニーズがあってもどこにも頼めない状況です。当社はそういった中小企業案件を全部受けようと。全部が商売になるかというとそうではないですが、ご相談いただいたお客様に喜んでいただくとその方が紹介者となり、またうちに紹介していただけることもあります。それが当社の1つの大きな方針であり、ビジネス上の戦略でもあります。


なるほど。断らないというコンセプトは面白いですね。企業規模で足切りにされて事業承継について相談したくてもできない、そういう状況の会社も多いと思います。
例えば店舗1件とか、そういう小規模な会社であっても相談を受ければソリューションを提供するというスタンスでやられているというのは、すごい特徴ですよね。

今、日本では事業承継問題を抱えている企業が127万社あると言われていますが、M&Aの成功件数は年間で3,500か4,000程度なので全然桁が違いますよね。ですから当社みたいにすべての案件を受けるという会社がないとなかなか事業承継問題の解決が進まない。小さな案件や店舗の譲渡などもできるだけ数多くやっていきたいと思います。


まさに不動産業界も10万社以上の中小企業があると言われています。創業者の方がちょうど65~75歳くらいのタイミングを迎えておられて、不動産業界でも事業承継の課題や悩みが増えているという状況です。そこで、弊社も新たに「M&A等を活用した事業承継支援サービス」を開始しました。貴社とは4月に業務提携をさせていただいて、さっそく6月に成功事例が出たという状況です。

当社は不動産の専門知識はないので、やはり不動産に強い貴社と組むことによって幅広く仕事を受けられますし、不動産が関係するニーズに対して提案ができるという相乗効果がある。不動産というキーワードがつく案件をご紹介して、今回の一号案件ができたのですが、二号案件、三号案件とどんどん続けていきたいと思います。




ぜひよろしくお願いします。さて、今回の成功事例を少し紹介させていただくと、都内で100年近く業歴のある老舗卸売業のケースでした。その老舗企業では負債の負担が重く、今後、祖業だけでは成長可能性も低いということから「後継者がいない」という状況でした。
そこで保有不動産を売却することによって、負債を整理し、また、今後の成長のための新規事業を立ち上げるということでした。

今回のケースでは、不動産を1つ保有していましたが、それに対して銀行借り入れもありました。事業を引き継ぐにあたって、借り入れは後継者にとっては怖いですから。それに、新しい事業をやっていくため、また、会社を安定させるためには、やはり現金があった方がいい。それでまずは、この不動産を売却して借り入れを返さないといけないな、と。ただ、このコロナ禍ですぐにその物件が売れるかというと難しいと思ったので、アズ企画設計さんに買い取ってもらうことにしました。彼らはこの売却資金を使って、新規事業を立ち上げ、当初は卸売業のみでしたが、今では自社製品企画・製造・販売まで手掛ける会社に変化しています。また、社員の中から新しい後継者も生まれました。








今回買い取らせていただいた不動産は、権利関係が少し複雑だったので、確かに一般の方にとっては、すぐに売却することが難しかったかもしれませんね。そのような物件を我々が購入させていただいて、権利関係を少し整理することで物件にも付加価値が加わりますし、お互いにとってうまくいった案件だと考えています。

M&Aの買い手からすると、買いにくい企業の1つは借金が多い企業です。また、買い手は事業が欲しいのであって、多くのケースで不動産は不要になってくる。そういった場合は不動産を売却して、例えば借金を無くす、現金を増やすと、M&A案件としても魅力度が高まります。業歴の長い会社だと、いろいろな理由で不動産を保有していることも多いのです。
M&A仲介の多くは、手数料が1件で1億円とか大きい案件をやりたがるのです。それは不動産でもそうですけど、同じ手間だからなるべく大きな案件のほうが良いと考えるのですが、当社は逆です。大きさは関係ない、とにかく件数をやろうと。
それは戦略的に紹介者との関係を作るというのもありますが、売り主さんとしてみると自分の会社が小さかろうがニーズは一緒でやらないといけないのです。そうしていかないと日本の事業承継問題は解決できないですよね。ここはアズ企画設計さんと一緒かもしれないですけど、お客様のことを本当に考えてやっていく。
利益至上主義の会社が多い中、本当の意味で日本の中小企業、事業承継問題を解決しようという想いに賛同いただいたアズ企画設計さんとパートナーとして頑張っていきたいですね。




M&Aに関する不動産取引において、他にはどんなソリューションが考えられますか?

M&Aに限らないですが、社宅や社員寮を持っていて、先ほどと同じように借金を減らすために売却したり。以前は企業も社宅を持ちたがっていたのですが、今では入居する人も限られますから。あとは工場等のリースバックもあると思います。
また、企業オーナーが、企業売却後に「何をしたらいいんだ」と相談されるケースで、収益不動産を保有して大家業をやってはどうかというケースがありますね。M&A(企業売却)によってまとまったお金が入ってくるので、相続対策や将来のために賃貸物件を保有するというケースです。








そうですね。収益不動産を複数持っている企業オーナーが、事業売却後も一棟は自分で引き続き保有したいといった実例があります。これには引退後のいろいろな意味があるでしょうが、やはり少しでも事業に携わっていたいという、そういう思いはあるのだと思いますね。
貴社で事業売却を支援したオーナーに、M&Aで得た資金の有効活用先として、弊社の収益不動産を紹介するということもありますね。

M&A仲介は半年間ぐらいオーナーと親密に関わりますから、すごく信頼関係が強くなり、何でも相談を受ける関係性になりますので、事業売却後の相談を受けることも多いです。



相続税のご相談という形で弊社の不動産を活用するという提案もできると思います。

当社にとってもM&Aと不動産は切っても切り離せない。やはりそこに強みがあればとてもやりやすいです。社内でそういった強みを持つのは不可能ですから。アズ企画設計さんと密接にやらせていただけるととても助かります。

そうですね。お互いの強みを生かして今後ともぜひよろしくお願いします。
本日は誠にありがとうございました。


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