賄い付きにすることで起死回生 退去待ちの入居希望者がいる住宅

今回ご紹介するのは、小田急小田原線「向ヶ丘遊園」駅から徒歩9分の場所にある夏山栄敏オーナーの賃貸住宅とレンタルスペースを兼ね備えた「クロスコート向ヶ丘Ⅰ・Ⅱ」です。見晴らしの良い高台にある建物の裏山には、竹林や生田緑地に繋がる道があり、緑豊かな空間に囲まれています。

賃料アップに成功した全20戸の建物は現在満室で、フェイスブックなどを通して「次に部屋が空いたらぜひ入居したい」という希望者さんが2人も待っています。

夏山オーナーが同物件を取得したのは約1年前のこと。築年数は45年、49年と古く、全空物件でした。

元々の所有者が住んでいた2階部分には、12畳の広い食堂兼リビング、和室2室と洋室1室のレンタルスペースがあり、広い玄関、2階へ続くよく磨かれた階段は、遠い親戚の家に来たような“懐かしさ”さえ感じます。

しかし建物は老朽化に伴い、ジャッキアップしなくてはいけないほどの傾きがあり、排水管は損壊しているといった状況でした。しかも同じスペックの近隣の家賃相場は2万円後半から3万円と、家賃を下げなくては入居者に選んでもらえないというのが実情でした。

繁忙期が過ぎ、内見などの問い合わせも少なく、5室しか埋まっていない状況に危機感を感じた夏山オーナーは考えました。

「どのような物件にすれば、入居者さんに喜んでもらえるのだろうか」。色々な方への相談やアドバイスを受け、朝と晩に食事を提供する「賄い付き賃貸住宅」というコンセプトを打ち出しました。

幸運にも義弟さんは日本料理の元調理人で、某大手企業の社食を提供するほどの腕前。朝食は、200円、夕食は500円とリーズナブルな価格です。日によっては、漁港から直接仕入れた新鮮な魚を使った本格的な日本料理を堪能できると大好評です。

「以前は、三宿や三軒茶屋といったおしゃれな場所にあるシェアハウスに住んでいたことがありました。でも、ここは入居者さん同士干渉し合わない中にも緩やかな繋がりができます。いままで体験したことがない、この『新しい暮らし方』が、今の私には居心地がいいです」と夕食を食べに来た20代の入居者さんは笑顔で語ります。

入居者さんが心身共に健康であることの一助になればというオーナーの思いでスタートした賃貸住宅。妹夫婦が建物の一角に住むことで、入居者さんの食の安心だけでなく、もしもの時には駆け付けてもらえるという安堵感を感じることができる建物です。


夏山栄敏オーナー(東京都荒川区)

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