高齢者に優しい家に建替えるもしくはリフォームするという「相続対策」

急激な温度変化に備え、家庭内での不慮の事故を防ぐ

今回お伝えしたいポイントは、「高齢者に優しい家に建て替え又はリフォームすることで、住宅の中での事故を防ぎ、健康で長生きしていただくこと」が大切な相続対策ということです。

厚生労働省の調査結果によりますと、高齢者の死亡原因第5位は不慮の事故で、不慮の事故の1位と3位が家の中で起きる事故(1位が溺死・3位が転倒転落)です。交通事故で亡くなる人より、家庭内事故で亡くなる人の方が多いのです。

家庭内事故についての、消費者庁のレポートによりますと、家庭の浴槽での溺死者数は平成27年に804人となっています。そのうち高齢者(65歳以上)が約9割を占めており、高齢者は特に注意が必要です。溺死を含む入浴中の事故死は、東京都23区では平成26年に442件あり、冬季に多く発生している傾向がみられます。人口動態統計によると、過去には入浴中の急死者数は約1万9000人と推計されたこともあります。

最近の住宅は気密性の高いユニットバスや、浴室暖房乾燥機や暖かい床材の導入など、温度のバリアフリー化が進んでいますが、実は、ヒートショック対策が必要なシニア層ほど築年数の古い戸建に住んでおり、寒い浴室で入浴していると考えられます。ヒートショックを起こす引き金となるのが急激な温度変化。それにより血圧が変動し、身体に大きな負担がかかります。

つまり、ヒートショック対策のポイントは「温度変化」にあります。お風呂だけ直しても駄目ということです。お住まいそのものが暖かく過ごせる環境が大切です。ウェザーニュースのデータによりますと、朝起きたときの寝室の温度は、関東地方は比較的寒いというデータがあります。温暖と言われている地域は無防備に過ごしているということが言えると思います。

また、消費者庁のレポートによりますと、高齢者の転倒・転落事故による死亡者数を年代別に人口10万人当たりで見ると、年代が上がるにつれて増加します。特に75歳以上になると5歳年齢が上がるごとにほぼ倍増する傾向にあります。

住宅の基本性能は30年前と比べますと格段に良くなっています が、油断は禁物です。転倒転落を防ぐバリアフリー工事と併せて、ご自宅やご実家の建て替えやリフォームのご検討をお勧めします。

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