【Q&A】賃料保証会社による未払賃料の支払いがなされた場合、賃貸人のテナントに対する賃料不払に基づく契約解除は可能でしょうか

Q. 弊社は、テナントA社のために、賃料保証会社と保証契約を締結しておりますが、

テナントA社の賃料不払いが既に4か月続いており、その都度賃料保証会社から不払い分の支払いを受けています。もはやテナントA社は信頼できないので、契約を解除したいと思いますが、賃料保証会社からの支払いによって今のところ賃料は全て回収できている現状で、解除は可能でしょうか。

A. お尋ねの点については、まだ最高裁での明確な判断はありませんが、

最近いくつかの高裁判例や地裁判例があります。これらによりますと解除は認められる傾向にあると言えます。

まず、福岡高裁平成28年2月29日判決は、賃料保証会社がテナントの平成26年6月分から12月分までの賃料の遅滞分をその都度賃貸人に支払っていたが、賃貸人は、テナントが賃貸人に賃料支払いを怠っていたことを理由として、テナントに滞納した賃料の支払いを催告し契約解除したケースで、テナントは賃貸人への賃料支払いを怠っていたから、賃貸借契約の基礎となるべき信頼関係は破壊されていたものと認められるとして、解除は有効としました。テナントは、保証履行によって賃料債務は消滅し、不履行という観念を入れる余地なく、賃貸人に経済的不利益もない旨を反論していましたが、判決は、保証会社による支払によってテナントの賃貸人に対する賃料不払いという事実自体は解消されないから、信頼関係が破壊されたとの判断は左右されない、と判断しています。

また、東京地裁平成27年2月23日判決や、東京地裁平成28年7月19日判決でも、保証会社がテナントの未払い賃料を支払っていても、これは保証契約に基づく保証の履行であって、テナントによる債務の履行とは言えず、テナントの賃料不払いという事実が消滅するものではないとして、解除を肯定しています。

しかし、こうした解除否定例は今のところ稀であり、何カ月もの間テナントが基本的な義務である賃料支払いを怠っていた以上、信頼関係が破壊されていないとは言い難いのではないかと思われ、判例の傾向は、解除を肯定する方向と思われます。

これに対し名古屋地裁平成28年8月10日判決は、保証会社がテナントの債務を保証したのは、テナントが保証料を支払って保証委託したことが原因であり、テナントは、賃料等の支払いをしなかったことによって賃貸人が損害を被ることを回避するために、自らの支出で保証委託することで保証会社が賃貸人に賃料を支払い賃貸人が賃料の弁済を受けていると言えるから、テナントの賃料不払いをもって直ちに賃貸人との信頼関係が破壊されたとは言えないとし、賃貸人による解除は認められない、としました。

なお、令和2年施行の改正民法では、以上の点について特に異論を唱えてはおらず、改正民法のもとでも、以上の考え方は維持されることと思われます。

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