マイナス要素を魅力的にチェンジ
健全な資産なら「売れる」はずだが…
世の中にはさまざまな「ワケあり物件」があります。そして「ワケあり物件」の多くは、欲しいと思う人がいないために、売りたいと思ってもなかなか売ることができません。
とある不動産屋は、懇意にしているお客様に頼まれて、まったく誰も欲しがらないような物件を300万円もらって引き取ったそうです。この300万円とは不動産の対価として不動産屋が支払ったものではなく、解体費と手数料としてお客様からいただいたものだそうです。
不動産屋は200万円ほどかけて建物を壊して更地にして、その後2年ほどかけてようやく売却しました。もちろん、その間の固定資産税は不動産屋が支払わねばなりません。更地にすると、建物が建っていたときに比べて固定資産税が6倍になるのですが仕方ありません。手間を考えると利益はほとんどなかったのではないでしょうか。
また、とある不動産投資家は、鉄筋コンクリート造のマンションを中古で一棟購入し、10年後に売り抜けようとしたのですが、それまでの家賃収入がマイナスになるほどの安値でしか市場に評価されませんでした。5年後にようやく売却できたものの、トータルでは赤字になってしまったそうです。
不動産投資は事業ですから、損をすることもあるとはいうものの、売れると思っていたものが売れないと、資金計画が狂って、事業が継続できなくなることもあります。
一般の方には、地主さんや不動産オーナーさんはお金持ちだと思われていますが、その資産の多くは不動産で、現金はそれほど持っているわけではありません。超低金利のこの時代に、資産を現金で持っていてもメリットがないからです。
地主さんは、資産のほとんどが不動産で、可処分所得はそれほど多くないのです。それどころか、不動産を購入するために借金を抱えている方もいます。メディアに出るときは調子のいいことをしゃべっていますが、意外と内実は火の車という方もいます。
しかし、いざ必要になったときにすぐに現金化できるのであれば不動産も立派な「お金」といえますが、流動性が低くなかなか売れないのであれば使い勝手の悪い「見せ金」になってしまいます。売れるか売れないかは、その資産が健全であるかどうかを左右するバロメーターです。
「ワケあり物件」を売るためには入念な準備が必要
「ワケあり物件」ばかりを抱えていると、いざお金が必要となったときに、なかなか現金化できなくて困ってしまいます。そこで「ワケあり物件」を売れる不動産に変えていこうというのが本連載の趣旨です。
そのために必要なのは、入念な準備です。
一般に、モノを売ることを「営業」と称して、お客様が見つかってからの「営業努力」が、売れるか売れないかの決め手になると思われている節がありますが、筆者はそうは思いません。
お祭りの屋台での300円のビールや500円の焼きそばであれば、その場での掛け声や呼び込みなどの「営業努力」にも効果がありますが、3,000万円や5,000万円の不動産は、買い手も慎重になりますから「営業努力」だけで売れるものではないのです。むしろ「営業」をすればするほど、それだけのコストをかけても売りたいのかと思われて、不信感を持たれるのがオチです。
「ワケあり物件」がなかなか売れないのは、そこに明らかなデメリットがあるからです。そのデメリットを舌先三寸で隠そうとしたり、表面だけ糊塗してわかりにくくしたりしても、無理があります。高額物件の場合は、買い手も念入りに調べて、少しでも不安があれば見送ってしまうからです。なにしろ、この供給過剰時代、代わりになる物件はいくらでもあるのです。
では、どうすればよいのでしょうか。筆者は、市場に出す前に、思いきって大改造を施して「ワケ」をなくしてしまうことが解決策になると考えています。