代襲相続とは?

当事務所の相談事例をご紹介します
(実際のご相談とは一部内容を変更しています)。
1年前に祖父が亡くなりました。
祖父の長男である私の父は1年前に亡くなっていたので、
私と父の弟が祖父の法定相続人となり、
二人で祖父の不動産について遺産分割協議をしました。

1ヶ月前、祖父の妹も亡くなりました。
祖父の妹は独身で子供もおらず、
父の弟からは亡くなった祖父の妹の銀行預金の件も
祖父の件と同様に二人で遺産分割協議をする必要があると伝えられました。
私は祖父の妹の件も祖父の件と同様に法定相続人となるのでしょうか。

このケースの場合、AさんはDさんの法定相続人ですが、
Eさんの法定相続人にはあたりません。
被相続人の死亡以前に、被相続人の子供や兄弟姉妹が亡くなっていた場合、
その直系卑属(子供や孫)が相続人となります。
これを代襲相続(だいしゅうそうぞく)と言います。

Dさんの相続が典型的なケースで、
Dさんよりも長男のBさん(被代襲者)が先に亡くなっていたため、
Bさんの子供である孫のAさん(代襲相続人)がDさんの相続人となります。

Eさんの相続については、
本来相続人となるべきDさんが先に亡くなっているため、
その子供であるBさんとCさんが代襲相続人となるはずですが、
Bさんも既に亡くなっています。
この場合Bさんの子供であるAさんが代襲相続人となることはありません。

兄弟姉妹が相続人の場合、
代襲相続で被相続人の甥や姪が相続することまでは認められていますが、
甥や姪も先に亡くなっていた場合、
その直系卑属への再代襲は認められていないのです
(具体的には、民法889条項が民法887条項を準用していないためです。)。

したがって、CさんはDさんの法定相続人であり、
Eさんの法定相続人でもあるのに対し、AさんはDさんの法定相続人ですが、
Eさんの法定相続人ではありません。
このケースではBさん→Dさん→Eさんの順に相続が発生したためこのような結論になりましたが、
仮に順番が違うと全く違う結論になります。

例えばBさん→Eさん→Dさんの順に相続が発生し、
Eさんの遺産分割協議前にDさんが亡くなったケースであれば、
AさんはDさんの代襲相続人として、
Eさんの遺産分割協議に参加することになります。
戸籍を読み解いて相続人を確定させる作業は、
このように非常に難解な場合があります。

せっかく作成した遺産分割協議書であってもそもそも相続人が間違っていると意味のないものになってしまいかねません。
難しい事例では早めに司法書士に相談することをお勧めします。

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