トレーラーハウスは車か建築物か?トレーラーハウスのメリットを確実に享受するポイント

最終更新:2024.11.20
読了目安:3分

上手く活用することで、設置基準や税制で多くのメリットがあるトレーラーハウス

ただ、ほとんどのメリットは、「トレーラーハウスは建築物ではなく車である」という点から生まれています。

そのため、もし自身のトレーラーハウスが「建築物」とみなされてしまうと、メリットを享受できなくなってしまう場合があります。

購入後、「こんなはずじゃなかった…」とならないため、トレーラーハウスが車であるための条件についてはしっかりと理解しておきましょう。

トレーラーハウスのメリットとは?

そもそも、「トレーラーハウスが車であることのメリット」から理解したいという方は、先にこちらの記事をご覧ください。

具体的なトレーラーハウスの活用事例も10例以上紹介していますので、よりイメージを膨らませていただくことができるはずです。

トレーラーハウスが「車」であるための条件

一般社団法人日本トレーラーハウス協会は、各種法令や行政からの公示をまとめ、トレーラーハウスが建築物とならない条件として、下記3点を挙げています。

トレーラーハウスが建築基準法第2条第1号で規定する建築物に該当しない条件
①随時かつ任意に移動できる状態で設置すること
②土地側のライフラインの接続方法が工具を使用しないで着脱できること
③適法に公道を移動できる自動車であること

https://www.trailerhouse.or.jp/define_th/

いきなり専門用語が登場し、面食らった方もいるかもしれませんが、実のところ話はとても単純です。

①随時かつ任意に移動できる状態で設置すること

法律上の建築物の定義の1つとして、「土地に定着する工作物であること」が挙げられます。

「定着」とは、「地面に接している」かどうか。

つまり、そのものが土地に接しておらず、「動かそうと思えばいつでも動かせますよ」という状態であれば、それは建築物ではないと言えるのです。

(例:進行方向に障害物がない/トレーラーハウスに階段やウッドデッキが固定されていない/など)

②土地側のライフラインの接続方法が工具を使用しないで着脱できること

トレーラーハウスには、電気や水道などのライフラインを繋ぐことができます。

この点が、バッテリーやタンクの容量分しか電気・水を利用できないキャンピングカーとの大きな差です。

ただし、それらのライフランを着脱するのに、工具を使用しなければならない(=一般住宅と同様の方法で接続された状態)のであれば、それはもう土地に「定着」しているも同然。

残念ながら「建築物」ということになってしまいます。

つまり、手動での着脱を前提としてライフラインを接続すれば、それは建築物ではない、ということになります。

③適法に公道を移動できる自動車であること

道路運送車両の保安基準第2条には、「自動車は(中略)長さ12m、幅2.5m、高さ3.8mを超えてはならない」と定められています。

つまりトレーラーハウスも、「車」である以上はこのサイズ内である必要があり、これを超えるものは「建築物」とみなされてしまう可能性が高いということになります。

ちなみに、「大型トレーラーハウス」と呼ばれる、このサイズより大きなトレーラーハウスも存在しています。

「大型トレーラーハウス」は自由に公道を走行することはできませんが、

1.管轄の運輸局に基準緩和認定を申請し、基準緩和認定書を取得
2.管轄の国道事務所に特殊車両通行許可を申請し、特殊車両通行許可証を取得
3.上記2書類を市町村もしくは運輸支局に提出後、仮ナンバーを取得して運行

この流れを経れば、一時的に公道を走行することができます。(参考:国土交通省報道発表

ただし、それぞれのトレーラーハウスを車と見なすか建築物と見なすか、最終的な判断は各自治体に委ねられており、近年、「大型トレーラーハウスは建築物である」としている自治体も増加しています。

そのため、より確実にトレーラーハウスのメリットを享受するためには、「トレーラーハウスは長さ12m、幅2.5m、高さ3.8mを超えない」と思っておいた方が安全と言えるでしょう。

自治体判断の実情

前述の通り、トレーラーハウスを車と建築物どちらとするかの最終判断は各自治体がすることになっています。

これは、トレーラーハウスについての法整備がまだ完全には追いついていないためです。

一つひとつの事案を個別に判断していては、自治体にとっても行政コストが高くなりすぎる。

そのため多くの自治体では、一般社団法人日本トレーラーハウス協会が認めるトレーラーハウスを「車」として認めている、という実情があります。

トレーラーハウスは、そのメリットに注目が集まるあまり、「タイヤついてればいいんでしょ!」といった乱暴な理論が先走りし、結果的に思ったようなメリットを得られていない人が存在することも確かです。

メリットを確実に享受するためには、一般社団法人日本トレーラーハウス協会が認めるトレーラーハウスであることが必須条件と言えるでしょう。

それは同協会が、トレーラーハウスの健全な普及を目指し、独自の厳しい基準を設けることで、数多くの自治体から信頼を集めている証でもあるのです。

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