ある大家さんの日常に起こったストーリー あの日、口ずさんだ歌は子ども達の心に

ある大家さんの日常に起こったストーリー あの日、口ずさんだ歌は子ども達の心に

新学期、入居者さんの中にも小学校に入学するお子さんがいました。ある時、わたしがアパート共用部のお掃除をしていると新一年生らしい、大きなランドセルを背負った女の子が10人くらい、次から次へと、あるお部屋に集まっていました。2DKの部屋はたちまち、子ども達でいっぱいになりました。

すると、一斉に小学校の校歌を大きな声で歌いだしました。その歌声はアパート中に響き渡っています。

わたしはふと二階の住人が夜勤のため、昼間は寝ていることを思いだしました。そこで、「すごく元気な歌声ね。お天気いいから、お外で遊ぼうよ」といいました。

ある1人の女の子はこういいました。

「A子ちゃんね、病気で学校いけないの。だからみんなで来てあげて、学校であったことを話してるんだよ」

実は、A子ちゃんは先天性の病気だったのです。わたしはびっくりすると同時に、小さいながら思いやりのあるこの子たちに感激せざるを得ませんでした。

それからというもの、となりの空き部屋を子どもたちの遊び部屋として開放し、時間があるときはわたしも一緒に歌ったり、ゲームをして過ごしました。やがてA子ちゃんの病気もだいぶ回復し、元気に学校に行くようになりました。

ある日、A子ちゃんのお母さんとスーパーでばったり会いました。すると、お母さんがいいました。

「学校で今、ビートルズの歌が流行っているんですよ。なんでかしら…」

そう、それは紛れもなくあの部屋でわたしが口ずさんだ歌。なんだかとても嬉しくなりました。

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