松本俊人

「ワケあり物件」のマイナス要素を魅力に変える方法.part2

POINTは【提供する商品サービスを精査する】

 弊社は30年前、本店のある埼玉県川口市からビジネスをスタートしました。ビジネスの対象は貸主(売主)も借主(買主)も個人が大半でした。
約9年前、東京に事務所を移してからビジネス対象が大きく変化しました。

 特に、不動産オーナーの属性が個人から黒字企業や富裕層の資産管理会社に変わってきました。当然、対象が変わっていったことで、提供する商品サービスも変化してきたのです。今回は、提供する商品サービスを精査してみます。

  1. マンション(レジデンス) 都心を中心に8億20億程度の物件を開発、買取り、販売中ですが、弊社のお客様が求めているレジデンスは、都心の視認性が高く資産価値のある立地です。収益性が高いに越したことはありませんが、ファンドやリートなどプロとの競争もあり、収益性(利回り)は高くありません。4%あれば十分です。とにかく、立地、資産性を重視した商品をこれからも提供してまいります。
  2. オフィス 千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区の都心5区を中心にオフィスビルの取扱を強化しています。オフィスを求めているオーナー様は、とにかく立地と資産性を重視します。レジと異なり、借主となる法人のビジネスに有利な場所を求めているのです。テナントの業種業界によりますが、千代田区と渋谷区のオフィス賃料が高止まりしており、賃貸需要が増え続けています。10億以下の1棟のオフィスを見つけるのはなかなか厳しいため、フロア面積50坪100坪程度の区分オフィスの取扱を始めました。資産として保有する企業だけでなく、実需として購入する企業も増えています。
  3. 倉庫(物流施設) 弊社の本店のある埼玉県は倉庫の多いエリアです。というのは、東北道の浦和インター、首都高の新井宿インター、外環自動車道の川口西インター、草加インターなどインターチェンジが多数あり、物流銀座になっています。何十億という、5000坪から2万坪の大型の物流施設も多数ありますが、300坪前後の倉庫も多数あります。

 昨年は、200坪ほどの空き倉庫を1.5億円で売りに出し、6件の買い付けが入りました。買い付けを入れたのはすべて中国人。実需で商売をしている人が倉庫を必要としているのです。
 そのほかにも、400〜500坪の賃貸中の倉庫2件を関西と九州の資産家がそれぞれ2.5億円くらいで購入されました。購入目的は、テナント貸してでもいいし、自己使用してでもいいし、さらに解体して分譲用地でもよいのです。利回りは56%くらいですが、倉庫は土地が広く積算が出るため融資もつきやすいのです。

「ワケあり物件」のマイナス要素を魅力に変える方法PART2【POINTは〇〇〇の需要をつかむ】

POINTは【エリアの需要をつかむ】

東北で稼働していたホテル3棟を再利用するため、九州の企業に売却しました。
先日見事に移設して完成したホテルを視察させていただきました。
ホテルの周辺にトレーラーハウス3台を設置して、宿泊者の需要に応じて拡大したレストランスペースも拝見しました。
大きなショッピングセンターの敷地に建物を移設して、利用者の需要を最大限に満たした建物に生まれ変わりました。
弊社が手掛けるビジネス拠点は郊外にある埼玉、地方の東北、東京の千代田区といくつか事業エリアが異なります。
拠点ごとに事業の対象が異なりますが、その需要をうまくつかまないと事業が黒字になりません。
では、どのように事業を黒字にするのか?

1,エリアの需要をつかむビジネス拠点の需要は何か?
これをつかむのが基本です。
これさえ正確につかめれば、ビジネスの成功は約束されます。
ただ、需要があれば、競合も必ずいます。パイが大きければ参入余地はありますが、そのパイの大きさ、つまり需要を正確につかまないと赤字のまま撤退することになります。
私も何度も経験がありますが、前進より撤退のほうが10倍ノウハウが必要です。
また、社内外に障害が出てくるので、メンタルの弱い方は事業の撤退はできません。

2,強者と組むNHKの「どうする家康」を観ていると、秀吉という強敵を味方にする決断に至る部下同士の葛藤がありました。
ビジネスは1人ではできませんので、誰かと仲間を作る必要があります。
不平不満やクレーム、泣き言ばかりいう方とビジネスをすると前に進むものもうまくいかなくなります。
つまり、自分の強みを持ち、この分野のことは弊社に任せてください、
と言い切れる会社とお付き合いする必要があります。
弱者同士が集まると不平不満が度々出てきて、問題解決のためのアイデアや行動が出ません。
互いの強みを理解した会社同士が連携して事業が前進し成功します。

3,新しい需要をつくる
1、2とも関係があるのですが、世の中にノーベル賞級の新規ビジネスはめったにありません。
事業で成功しようと思えば、成功している会社をリスペクトしてその長所をよく勉強することからスタートします。
そして、できれば、リスペクトする会社のサービスに何か1つでも新しいサービスを付加する努力が必要です。
エリアの需要をつかみ、できれば新たな需要を作り出す。
難易度が高いですが、ちょっとの差別化でもよいので、その工夫が成功に近づくと考えています。

「ワケあり物件」のマイナス要素を魅力に変える方法 Part2!POINTは【担当者の〇〇〇】

POINTは【担当者の信頼度】

 前回のハウスくん通信で空室改善策の1つ、短期賃貸の話をしました。新型コロナが、5月8日から5類感染症となり、社会生活が以前に戻ったことで、都心の空室が急激に改善しています。店舗リーシングの会社では、申込が殺到してうれしい悲鳴となっています。これからは都心一等地の空室物件は、オーナー優位に戻っていくと思われます。

 さて、今回は人についての話です。不動産の売買や賃貸は、どれだけネットが発達しても物件をみて希望条件をすり合わせて、最後は相対で契約となります。

 私もお客さんとして、不動産を売買したり賃貸するケースがありますが、担当者の選定には気を使います。基本的には、信頼できるかどうかです。

 その人が信頼できるかどうかの判断はとても難しいです。ここでは、私の経験上の信頼度調査方法をお話しします。

1,レスポンスが早い。
 レスポンスが遅いと、意思決定に時間がかかり、その分コストがかかります。不動産の売買、賃貸どちらであっても、相手となるお客様が対象となりますので、仲介の不動産会社の担当者が双方のレスポンスを迅速にトスしてくれないとコミュニケーションが緩慢になり、トラブルを引き起こす可能性が高まります。よって、レスポンス、特に着手の速い担当者を選んでいます。

 私は、出会って最初のうちは、まめにこちらから連絡やメールをするようにして試しています。もし、私が期待するスピードでレスポンスがない場合は、依頼する会社を変えます。同じ会社で担当者を変えることは面倒なので、会社を変えてしまいます。ただ、例外としてこちらの要望を察して担当者の上司が迅速に対応できる場合、上司に変更してもらいます。

2,要件が簡潔正確。

 話してみると話が長く、長電話や長文メールの方が時々います。こういった方はトラブルメーカーとなることがあります。暇なときの飲み会でも長話は閉口しますが、ビジネスマナーとして長電話や長文メールにはリスクがあります。要件がぼやけて、双方の要望をずらしてしまうからです。ビジネスは要件を簡潔正確に伝達できる担当者がベストです。テストとして複数の要件を伝達して、どう対応するか試してみてはどうでしょうか?

3,約束を守る。

 当たり前でのことですが、不動産の売買や賃貸の契約は約束事です。決めたことを守ることで契約ができます。購入しますといって、書面をもらっても、キャンセルするケースがあります。これは、仲介者の信頼度にも原因があると考えています。仲介者が小さな約束を確実に守る人だと取引相手双方に理解されていれば、信頼感をもって手続きを進められます。テストとして、最初は打合せを多めに行い、遅刻や変更がないか試してはどうでしょうか?

「ワケあり物件」のマイナス要素を魅力に変える方法Part2【〇〇賃貸で一旦空室を埋める】

POINTは【短期賃貸で一旦空室を埋める】

地方に行くと駅前のシャッター通りを時々目にします。
人口減少でテナントの需要がなくなり、空室が増えて街に活気が出ない状況です。
都心でもコロナの3年間で、一等地のビルの空室が増えてしまいました。
これからの1年は、この空室を粘り強く営業して埋めていく時期になります。

徐々に空室が少なくなっていますが、
商業ビルの空室はまだコロナ前のように満室になっていません。
テナント様も様子見状態で需要動向をシッカリとつかんだ上で条件交渉をして出店を検討しています。
そのため成約までに時間がかかっています。
コロナ前でしたら、満室なので空きが出ても、複数の申込が入りました。
今はまだ借り手有利の状態です。
これから空室率が下がってくれば、オーナー様有利の状態に戻るでしょう。

空室募集の一方法の短期賃貸ついて解説します。
空室募集の一方法として、ポップアップストアという短期運営形態があります。
ポップアップストアとは、数日~数週間程度の比較的短い期間限定で開設されるショップです。
ポップアップとは、英語で突然現れるといった意味を持っています。
いきなり出店してすぐ消えてしまうのが特徴で、
商品やブランドの認知拡大、新商品のプロモーション、テストマーケティングなどが目的で出店されることが多いです。

2つ目の短期空室活用法です。
バッタ屋さんが大量の不良在庫や倒産品などを安く買い取り、
空き店舗などを短期間借りて、
チラシなどで宣伝をして短期間で売り切る方法
があります。
興味本位で買い物したことがありますが、
紅白幕が張ってあり、法被姿の店員さんがマイク片手に衣類や小物などをバナナのたたき売りのように販売をしていました。
在庫処分業の方に短期で賃貸する方法です。

3つ目の短期空室活用法として、
電動マッサージ機などをお客さんに試してもらい販売する方法です。
空調が効いた空室に機器を設置して、
検討客にお試し利用していただき、
気に入ってもらったら買っていただくという営業方法です。
3か月から半年ほど借りてもらえるようです。
弊社の社員も1台購入したことがあります。
デモ販売業者に短期で賃貸する方法です。

4つ目として、コロナ禍に急激に出現したPCRセンターなども短期の空室利用法です。
こちらは、予想外に長く賃貸となっていますが、まもなく解約となります。

以上4つの短期空室利用法は、テナント側だけでなく、オーナー側にもメリットがあります。
賃料が入るだけでなく、人が集まることにより、その場所を認知させ、活気づけることができます。
お客様を呼び込み、将来の見込み客(テナント様)をつかむ可能性もあります。
長期空室で悩んでいるオーナー様は、短期賃貸を試してみてはどうでしょうか。

「ワケあり物件」のマイナス要素を魅力に変える方法.Part2

POINTは【入居者の食いつく物件】

 

賃貸経営をいかに有利に進めるかを考えると、入居者から選ばれる物件を所有する必要があります。空室が出てから半年も賃貸契約に時間がかかるのではなく、退去待ちがあるような物件が理想です。入居者の食いつく成功例をあげて研究してみましょう。  

 東京の駒沢公園周辺は閑静な住宅地が多く、東が丘(目黒区)には1990年に竣工した泰山館が位置しています。この物件は退去待ちで有名な味のある物件です。
 門を入ると、緑豊かな中庭を囲んで3階建、全34戸が入居する建物が広がっています。高層マンションとは一線を画し、海外のリゾート地にあるコンドミニアムを思わせます。通路は広く、ゆるやかな高低差があり、回廊状になっていて、そこを歩くだけでも、心地よさを感じます。敷地は1,000坪弱(オーナー自宅を含む)という広さ。木、石、漆喰(しっくい)などの自然素材を多用した建物ならではの落ち着いた雰囲気があり、雑誌、広告、映画などの関係者からも注目を集め、女性誌のグラビア、テレビドラマなどに利用されてきました。  

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