備えあれば憂いなし 高齢者の住まい方

建物の老朽化や少子高齢化のあおりを受け、高齢者の賃貸住宅への入居が増加する昨今。高齢者住宅の現状とオーナーの創意工夫した事例を紹介します。

鈴木かずやオーナーは、会社員の傍ら、茨城県土浦市でアパートを4棟35戸所有します。高齢者や障害を抱える入居者にターゲットを絞り、高齢者向き住宅を2016年5月から運営しています。もちろん賃貸経営はこれが初めての出来事です。

ですから、『ミラサポ』という個人事業主をサポートする専門家派遣サービスを利用し、高齢者向け賃貸住宅のスペシャリストの赤尾宜幸オーナーを講師に迎え、物件をDIYでリノベーションしました。

現在はほぼ満室稼働で極端に下落した周辺相場家賃を適正家賃にして(購入前より3割家賃アップ)物件を貸していますが、ここにたどり着くまで、決して平坦な道のりではありませんでした。というのも、高齢者や障害者が賃貸住宅に住みたいと思っても、不動産会社が取り合うケースは極めて少ないからです。

相場賃料よりも、3倍アップして貸し出している「あんしん荘」

事実、鈴木オーナーが自ら不動産会社に出向き、「高齢者向けのアパートオーナーなのですが、募集活動をお願いします」と訪問営業をしても、取り合ってもらえませんでした。

そこで、休日は住宅の仕様や設備などを記したチラシを持ち、福祉施設や市の生活支援課、介護福祉課、高齢福祉サービスを展開する部署、企業などを一日15件周り、トータルで150カ所の事業所を回りました。訪問しても、人がいないときはチラシを置くという地道な仕事を続け、ケアマネージャーさんやソーシャルワーカーさんの元へ鈴木オーナーの活動が広まり、「退院する人がいるのだけど、住宅を貸してもらえないか」「単身で元気なのだけども、身寄りがない高齢者ということで、住む場所に困っている人がいる」という反響を得ることができました。「購入した時は、もともと8戸中3戸しか人がいませんでしたが、活動を始めてから6カ月で満室になりました」(鈴木かずやオーナー)

今では、鈴木オーナーも理事を務める茨城県では第一号に認定された居住支援法人LANS(ランズ)がソーシャルワーカーや医療機関などの問い合わせを受ける「住居探しの窓口」として、開設から1年で15名の住居を提供してきました。

入居者の使いやすい高さに調整した手すり

「これからも、福祉、介護、医療、行政等様々な社会資源と連携しつつ、一人ひとりにあった支援をコーディネートするおせっかい大家として動いていきたいと思っています」(同氏)


鈴木かずやオーナー プロフィール
1982年生まれ。茨城県取手市在住。既存アパートを活用し、福祉介護事業者との連携により、『あんしん荘』で高齢者が孤立しない生活を提供している。仲間と共に生活に配慮が必要な方の『住まい』と『支援』をつなげることをコンセプトにLANS(ランズ)の立ち上げに参画。茨城県より県内初となる居住支援法人として認可を受け、4棟35室を運営している。

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