入居者の記憶を飾る居住空間を創出

皆さん、こんにちは。福岡で「大家業は人生貢献業!」をモットーに不動産賃貸業を営んでいる中西と申します。

先日のこと。事務所で仕事をしていると、ふいにインターホンが鳴りました。何気なく出てみると、そこに立っていたのはとある物件の入居者さんだったのです。ご夫婦と生後間もない赤ちゃんの3名で突然のご訪問。「何事ですか?」とお尋ねすると「いつもお世話になっているので、季節のご挨拶に伺いました。」との事でした。

実は、このご家族とは以下のようなエピソードがあったのです。昨年の春のこと。ご夫婦の間に初めての赤ちゃんが生まれました。奥さんは暫く実家に戻って育児をされることになったのですが、その後すぐにご主人の転勤が決定。1年間という期間限定での転勤とのことでした。これを受けて、ご主人から私にご相談があったのです。「このような事情で1年間家を空けることになりました。しかし、これを機に退去するつもりは全くありません。1年後にはまたここに戻ってきて、3人で暮らしたいと思っています。ところが、転勤先で家賃の全額補助は受けられず、ここと向こうで2重に家賃が発生することとなりました。

それではとても苦しくなるのでこの1年間だけお家賃を下げて頂けないでしょうか。」私は一旦回答を保留して、熟考の末にご要望に応えることにしたのです。その旨を告げると、ご主人はとても喜ばれていました。賃料などお金に関することはあやふやにしておくとトラブルの元です。私はきちんとした書面を作成し、ちょうど準備していた出産祝いと共に発送したのでした。

そのようないきさつがあって突然の訪問となったのです。私の判断は合理的ではなかったかもしれません。損か得かと言われたら損をしているのかもしれません。しかし、私は有形のモノを売っているわけではありません。「生涯の記憶を飾る居住空間の創造」という無形の価値を提供しているのです。無形の価値は容易に計ることは出来ないし、損得勘定ではじき出せるものでもありません。私が心掛けているのは、まずは無形の価値を提供することによって入居者さんとの間に信頼関係を構築すること。信頼関係を構築するためにはこちらからひと手間かけることです。信頼関係を構築するためには始めは損するくらいでちょうどいいのではないでしょうか。大家との信頼関係は他物件との強力な差別化要因となる。そう痛感した出来事でした。このご家族と再びうちの物件でお会い出来る日が楽しみです!

今回をもちまして、私のコラム連載は終了となります。これまでお付き合い頂き、本当に有難うございました。大家業は入居者さんの人生の一部を預かる尊い仕事です。入居者さんの人生に貢献出来るような賃貸経営を心掛けていきたいですね!

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